Ⅹ - 人皆旅人

◇ Ⅹ - ⅲ ◇

 ――――夕食後にお風呂から上がって、再び、自室で頭をめぐらせる。
 今の所するべき事と言えば、考えるぐらいだろう。
 オレだって、たまには頭を使う。たまに。


『言っとくが時。お前は風紀の狗じゃねぇ。ボンゴレファミリーの方が先約なんだからな。ヒバリなんかに、へいこらするんじゃねぇぞ』


 なんて今日、言われた訳だが。
 オイコラ、ヒットマンと、思った訳なのだが。


 意外と的を得ていたりするヒットマンは、やはり流石だ。


 この世界にいる以上……ツナ達の傍にいたい以上、その位置が一番的確であり、なおかつ、この先に起こるであろう“事”……オレの知るこの世界の物語を考えれば、やっぱり『マフィア』である事は、必須だろう。

 だがしかし、オタクのスキルを舐めるなよ。


 フルボッコに遭う自信はあっても、フルッボコにする自信はない。
 胸を張って、無い。


 運動神経は、そこそこいい、と自負してはいるが、戦闘となると話が別だ。殴り方を知らない奴が誰かを殴れば、逆に自分の手を痛める要因になる、と何処かで聞いた事がある。つまり、マフィアの抗争……戦場となると、そのレベルは“痛める”なんてモノではなく“死ぬ”の域に達すると思って間違いはない筈だ。


 そうか、死ぬか。悲しい結論に行き着いて、勿論、撃沈だ。
 向かい合っていた天井を、枕へと替え布団へと沈む。


 この世界に来た以上、いずれは、強く在らなければならない状況は来るだろう。勿論、何時までいるのかは分からない訳だが、逆に、何時帰れるのかも分からない状況だ。もし『いやいや、そんな状況が来る前に帰れるだろう、わはは』なんて言って、痛い目見てみさらせ。まさに、死んでも死にきれない。


 だからこその、心構えだ。


 紙面上で見た、血の飛び散る光景、それが今のオレには、二次元ではなく現実に押し寄せてくるかもしれない。その状況下で、オレは彼等の隣に立っていたい訳だが、今のままのスペックじゃあ、確実に、死ねる。

 かと言って『強くなりたい』と願った所で、常人離れした能力は秘めていないから、精々が護身術レベルだろう。脇役にもなれない、レベル0の村人だ。でもって、武器鍬(くわ)で、童歌殺人事件で、村を出て行け。

 ……方向性を間違えているだと?


 オレの脳内、スプラッタ気味に暴走。
 殺人事件が起きかけた。


 結局、どうしよう、どうしよう、と考えあぐね、結果大して良い案は思い浮かばず、果ては『強くなれる訳ないじゃない。だってオタクだもの』なんて、残念で最もな答えが出てしまった。だってオタクだもの。

 そして、残念な答えに満足してしまった、阿呆は眠りの国へ。
 ファンシーな言い方してるけど、そんな可愛いモンじゃない。
 いっそ永眠してしまえ、と言われそうな、単なる逃避だ。


 けど、そう、本当。


 全然、可愛い内容の夢じゃなかった。
 考え疲れて、逃げた挙げ句の、天誅なのだろうか。
 もっと訳の分からん事を、脳内に突きつけられていた――――

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