ⅩⅩⅢ - 人皆旅人

◆ Ⅲ - ⅴ ◆ ⅩⅩ ◆

 帰りは橋から逃げるように、帰った。


 流石にもういないとは思った……けど、いたらいたで、揺さぶられない自信はなかったし、だからツナ達と一緒に遠回りして帰った。面倒だったけど、まあ……仕方ない。

 ……大丈夫。大丈夫だ。もういる訳ない。
 たかが時計だ。そこまでして、何があるってんだ。
 大丈夫だ。無茶なんてしないさ。だって大人だ。だから大丈夫だ。

(…………あ)

 テレビに映る野球中継。
 見ていたはずのそれは、もう何がどうなっているのか分からなかった。

 好きな選手がヒットを打ったらしい、点が入っていた。相手チームの選手がホームランを打ったみたいだ。歓声が上がってた。その選手にとってそれは記念すべきものだったのか、敵地なのに一際大きな歓声だった。

 何時もならオレも一緒になって喜んでるはずだ。
 だけど何でか、大きな歓声の声が遠く聞こえる。
 理由は……理由は、嫌と言うほど分かっていた。

 頭の中がぐちゃぐちゃするんだ。
 何でだか言い訳を繰り返す自分が、訳分かんなくて。
 あいつに対して、本当はどうしたいのか、気持ちがあちこち行って……

「時……もう帰ったよな?」

 ぽつりと漏れた言葉の内容は、よく覚えていない。
 気づいた時にはもう、テレビの前で眠りに落ちる寸前だった。

 オレは一体、何を呟いたのか、どうでもいい事だけど……
 その時に見た夢は、あまり気分のいいもんじゃあなかった。

09/06/14Re:12/05/13 ******** Next Story - G・Hayato.

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