ⅩⅩⅤ - 人皆旅人

◆ Ⅴ - ⅱ ◆ ⅩⅩ ◆

 ――――そこを通ったのは偶然だった。


 ボーっと歩いてて。
 したら、手に持ってたズポーツバッグを落としちまって。
 それを拾う為に、下を向いて。

 川、と、階段、が目の端に入って来た。

 ……あぁ、またこの橋か、なんて眉間に皺寄せて、こんな所さっさと離れよう、と思って、顔を上げて、学校へ向かおうとしただけ。だと言うのに、妙に良いオレの視力が奇妙なモンを捉えて。


 足、が。

 目の端に写った。


 それを視界に写して、何を思ったって訳でもない。
 少しだけ疑問符を浮かべただけ。

 バッグを拾う為に曲げていた体を伸ばして、顔を左に向けた。
 コレは、突発的な行動の流れ。

 視界の端に捉えたままの足を、自分の目に全てを写す様視線を動かす。
 コレも、人間が持つ厄介な好奇心の所為。

 見る事、に大した気持ちなんて無かった。
 ただなんとなく、そっちに目を向けたってだけだった。
 意識して、ではない、自分の行動。


 だから、余計に驚いた。


 目の前で起きてる事に、頭が追い着かなくて。
 目の前の光景に、体が固まって、心も止まって。
 声が震えて。
 時間が止まって。
 心臓が跳ね上がって。


「……と、き……?」


 目の前で、倒れて動かない人間に、世界が揺れた――――

****************************** Next Page.

BACK   NEXT
TOP    SITE TOP