◆ Ⅴ - ⅳ ◆ ⅩⅩ ◆
「――――それで、途中でディーノさんに会って……?」
「あぁなんか、オレの方が足速いってンで時の事奪われ……あーんー選手交代って感じか?」
「……そっか」
「実際ツナのおじさんの方が足速かったしな、やっぱオレもあんくらい背ーのばさねーと……」
ツナの家に時を担ぎ込んでから、オレとツナ、それから獄寺とチビ共は、何をするでもなく、ツナの部屋で大人しくしてる。
オレはツナのベッドの淵に寄り掛かって。ツナはベッドの傍にある四角い机の前で、オレの左に座ってうな垂れてる。獄寺はそっぽ向いて、窓の外眺めたまま何も言わない。チビ共は時の状態に驚いて泣いて、疲れちまったんだろうな。今はツナのベッドで川の字で寝息立ててる。
オレとツナの会話が切れちまった事で、部屋の中に静かな空気が横たわった。聞こえるのは、チビ共の寝息、窓の外を吹く冷たい風の音。それから部屋の外――廊下から聞こえてくる、忙しない物音――――
――――雪崩れ込むようにして、ツナんちの玄関に入った時は、皆が皆ものっすげーテンパってた。一緒にツナの家に来たおじさんは、医者を呼びに行く、とか言ってどっか行っちまったし。オレもツナも獄寺も、この状況をどう打開すれば言いのか分からないまま、時に意識を飛ばしたまま玄関で立ち尽くしたままだった。多分、おばさん――ツナの母さんが居なかったら、時の状態はもっと悪くなってたんじゃねーかと思う。
ツナのおじさんに時渡されて、渡されたは良いけどどうしたら良いのかオレには分からない。分からないまんま玄関に突っ立てたら、時の状態に驚いたおばさんが、次の瞬間には色々と、優しい声で、ゆっくり、パニクってるオレの頭に、直接語り掛けてるみたいに指示を出してくれていた。
時の状態はどうなのか、と、聞かれれば、体が濡れて冷え切ってる、ってすぐに答えられたし。風呂場に連れて行く、って言われりゃ、自然と流れる様に体が動いし、的確で無駄のない指示をオレやツナ、一番は緑中の女子――ハルとか言ったか?――に優しい声で出してくれて。
でもなんか、こういう時は女子の方が色々分かってるらしい。
オレが出来た事と言えば、布団出す、とか、服用意するとか、湯沸かすとか、そんくらいだ。そんで時間が経つに連れて、する事無くなって、今じゃツナの部屋でこの現状。
こう言う時の男って、邪魔しないように大人しくすんのが一番なんだ、って、親父が言ってたけど。流石親父、伊達に親父やってねーわ。
「……時……冷たかった?」
「ふぇ……?」
黙りこくってたツナがいきなり喋ったもんだから、茶ーすすろうとしてたオレの口から間抜けな声が上がる。だって本当にいきなりだ、こんな湯のみくわえてる状態でどうしろって言うんだよ。
とりあえず、暖かい緑茶を飲むだけ飲んで、ツナに目を向ける。
「冷たいって……時の体、だよな?」
「うん……なんか、さ、真っ白だったし。その、し……死体、みたいって言うか」
言いながらに、ツナの体が震える。
俯いてて分からないが、もしかして泣いてるのかもしれない。
「うん……あぁ、冷たかった」
そう、オレが言ったらツナの体が跳ねた。
視界の端に写る獄寺も、少しだけ、反応を見せた気がする。
でもオレは喋る事をやめるつもりはない。
ツナが泣こうが、獄寺が止めようが、自分の言葉が怖かろうが、オレはやめない。言わなきゃいけない気がする。オレ達が無視した結果、時がどうなったのか。オレ達が何もしなかった結果、時がどうなったのかを。
自分の胸にも刻む為、オレは言葉を吐き出した。
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