◇ Ⅷ - ⅲ ◇
「ふうん……君、随分と奇妙だね。いいね、面白い。暇つぶしには最適な匂いがするよ。それに興味も少なからず沸いた。咬み殺すのは止めにしよう、何時でも出来そうだし……何より、叩いて出る埃の中に、本当に面白そうなのが交ざっている気がしてならない……」
だから止めにしよう。「ああ、それに……何? 『並盛の皇帝』? そんな呼ばれ方されたのは初めてだったよ。国の王になんてなる気は、さらさらないけど……悪い気はしないね。中々いい響きだ」
……お、おや?「その言葉に免じて……という訳では勿論ないけど、僕に対して使った礼儀知らずの言葉も行動も、今回は目を瞑ってあげるよ……けど」
グッジョブ、オレ! 自ら防衛ラインを作っていたとは!「けど……君は僕を殴った訳だし、それだけで許す訳には行かないね」
さあ来た! そうは問屋が卸さない世の中でした!「な……何をすれば宜しいので御座いましょうか……?」
ゴマすり、ガクブル。
「君、こんな時間にここに来たって言う事は、学校、行ってないね?」
「へえ、まあ、しがない旅人は、そんな所に通っておりませんでござりまするが……いや、でも、一応義務教育とはおさらば御免しておるので」
「ふうん……それじゃあ、君が僕に許しを請う方法は“これ”で行こう」
「へえ、なんで御座いませう、旦那様、なんなりとお申し付け下せえ」
「明日から君は“並盛中の学生”になること……いいね。これが君のすべき“償い”だ。二度は言わないよ。それじゃ、僕も暇じゃないからね」
「またね部外者」とか言いやがりながら。身を翻すその背中に飛び蹴りかましてやろうか、と思ったら、気配がばれて目があったので、舌打ちに留めておいた(っち)。そして、とりあえず生存確認。「……見てツナ。オレ人生謳歌してていいって」
凄い、生きてるって素晴らしい、呼吸してるって凄すぎる。そんな感動を抱きつつ、振り向きながらゆっくり言えば、彫刻が如く固まっていた野次馬勢が覚醒。もの凄い開放感に包まれてる。「……って、っは! よよ、よ、良かったね時! いやホント、生きてて良かったっ! 死ぬかと思ったっ! オレも死ぬかと思ったっ!」
ツナはオレの気持ちを言わずもがな理解してくれる同士らしい。「はあ……にしても、なんであんな事になってんだよ。そもそもなんで白井が並中にいるんだ? 雲雀に喧嘩売りにくる根性なんて持ってたのか、てめぇ」
持ってませんが、何か?「それは話すと長くなる様な、ならない様な」
どっちだよと突っ込む、ごっ君を尻目に、山さんの声に耳を向ける。「でもホントー、オレも焦ったぜ! あの雲雀を殴るんだもんな、はは! 並中に武勇伝作ったな時! もしかして雲雀のこと倒せたりしてな!」
はは、恐ろしい事を言う山さんに、ちょっと憤怒。「……で? な・ん・で、お前がここにいるんだ?」
……だから話すとだね、タコソン君。「……ううむ」
しかし、説明しない訳には行かない、何から話そう。「……そうだ。ご飯にしよう」
京都行くノリで。