◇ Ⅷ - ⅰ ◇
嗚呼、遠い世界の我が友よ。君達は楽しくやっているだろうか。
オレは、楽しくやっていけそうもないよ。今死にそうだよ。
『REBORN!』世界に来てからこっち、追い駆けられてばっかりな気がする。一番最初は、獄寺隼人――ごっ君こと、タコソンに追い駆けられて。
今現在。
並盛の帝王こと、雲雀恭弥閣下に、殺意のこもる足で追い駆けられているっていう、泣き叫びたくなるこの現状をどうしたらいいのか。
メーデー、メーデー、こちらホワイト。至急救援を頼む。何? 代わって欲しいだと? OK、分かった、了解した。是非変わって頂けないだろうか、雲雀恭弥(様)ファンの中にいるであろうマイク諸君。て言うか、箸届けに来ただけなのに、何でこんな潜入に失敗したスパイ見たいな事にならねばならんのだっ。て言うか、風紀委員が学校の廊下走るなよっ。
……って、走ってるオレがいけないのかっ!!
見つけてしまった自分の失態。
それでもオレは敵――雲雀恭弥から逃げる。だってオレは悪くない。断言できる。オレ、悪くない。けど、そんな冤罪宣言した所で、この状況が変わる訳もないのであって、むしろ、この悪い状況をまざまざと突きつけられる訳で。
周りでは、授業を終えたのであろう生徒達が、オレと風紀委員長のカー(車ではないけど)チェイスを驚きと好奇の目で見ている。何あの人、とか、不法侵入? うわ自殺行為、とかエトセトラ、エトセトラ。いや、まあ、そうなんだけどさ、この人の存在を忘れてたオレは、もうなんか、そんな感じだけどさ。
嗚呼、もう、どうしようもなく突きつけられる、この最悪な状況。
しかし、そんな状況で半ば放心状態になりつつも、逃げる事は忘れない脱兎の足、グッジョブ。目指すはツナ達のいる教室。見せて貰った地図によれば、もうすぐの筈だが、体力だけは無駄にある筈のオレも、そろそろ限界が近づいて来ている。しかし、振り向けば、魔王ヒバーリ。
……て言うかあ、絶体絶命?
――――いや待った。と言うか、怖っ。何であの人息切れてねーのっ?
あはは、いやだなキャシー、雲雀恭弥だからさ。
うふふ、そうよねボブ、私ったらどうしたのかしら。
ああああ、もう駄目だオレ。なんかもう駄目だ。脳みそも運命も存在も全てが駄目だ。駄目人間だ。生きた心地がしない。決めた、あの人は人間じゃない、人外だ、異星人だ、故郷はナメック星なんだ、助けて神様。
胸元で十字を切って、現実逃避。
でも駄目だ。何もかもが駄目だった。
「――――足が遅くなったよ、部外者」
真後ろから聞こえてくる、中の人ボイスに絶叫。
呪詛……と言うか、呪怨と言うか、なんというか、ははは。
嗚呼、ついに、絶体絶命大ピンチに追い込まれたよオレ。もう疲れたパトラッシュ……のまま、地にひれ伏す五秒前、視界に捉えた、茶髪サイヤ人ヘッド。
――――悟空様っ!
「ツナあーーーーっ! ヘルピスッ! ヘルピスミーーーーッ!」
「――――何人だっ!」
って、訳も分かっていない筈なのに、的確な突っ込み。
時さん涙出てきたよ……って泣いてる場合じゃあねえ!
「……って、あれ? 何で時――――って、何で雲雀さんんん!?」
分かんないっす!
いや、分かるけど、分かりたくないっす!
助けて! 悟空様――ってツナ達に突っ込んでいくオレ。朝の妄想はコレを予言してたのか……とか、そんな考えを頭の端に追いやりながら目的地のツナ達を目指す事、数秒。もう少しでツナ達に手が届く、という範囲まで来た所で――――
「残念。GAME OVERだよ」
左肩掴まれた。
「のわああああああああああああああああああああああああああっ!!」
いきなりの状況にプチパニック、大パニック、パニック映画。
そんなもんだから肩に置かれた、心持ちエイリアンか、プレデターの手を振りほどこうとするのだが、まいった。その愚かな行為がこの後の回避しようのない事件を招いていまった――――
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