◆ Ⅰ - ⅳ ◆ Ⅹ ◆
「それにしても、二人共いつの間にそんなに仲良くなったの?」
「「仲良く(ない)(ないっス)」」
「………………」
只今、屋上。
オレ達四人は、左からツナ、オレ、ごっ君、山さんの順でフェンスに寄りかかって昼食中。今日は他に生徒も居らず、静かな空気が横たわっている。ツナがオレ達に生温い目を向けてるのは、きっとこの温かい天気の所為だ。
「にしても白井、今日の授業、丸々全部寝てただろう」
なんだ畜生。何で知ってやがる。
「何で知ってるかな、何でそんなに小姑見たいかな。そんなに私と綱吉さんの仲を裂きたいのお母様! わたくしどんな虐めにも耐え抜いて見せますのことよ!」
「ふざけてんじゃねぇ! 登校初日からそんなじゃ、この先センコー共がうるせぇだろうが! 仮にも十代目の家で世話になってんだ! てめぇの成績云々で迷惑掛けたら承知しねぇぞ!!」
そうか! そういう事だったのか!
沢田家に居候している以上、オレの生活態度までもが奈々ママの背中に圧し掛かっているとは、失念していたっ。認めたくはないが、流石天才という事か。一般人とは着眼点が違う。決して認めたくはないが。
「そうだな……そうだよな……すまんごっ君、オレ気付いてなかった。そして、心からの感謝もどきを送ろう。この玉子焼きあげる。本当は嫌だけど、あげる。あわよくば、しゃっくりが止まらなくなればいいと思う」
奈々ママに頼んで作って貰った、オレの好物その一、出汁巻き卵。それを弁当箱の中から箸で拾って左のごっ君に突き出す。そして何故か固まる回りの方々。
なんだ、卵嫌いか。卵の栄養価舐めんなよ。卵かけご飯舐めんなよ。それとも、鳥インフルエンザでも恐れているのか。もしかして、ギャルゲーな“あれ”でも待ちわびているのか。ふはは、ふざけるな。イケメンの癖に生意気な。イケメンはイケメンらしく、三次元の美女と乳繰り合っていればいいんだよ畜生。
ふはははは(お腹の底から)地獄を見せてやる!
「はい、隼人くん。あーん」
心は、某泣けるギャルゲーの天才少女。
だがどうだ、気持ち悪いだろう! お昼時には自重すべきだろう!
ざまあみさらせ! イケメンめ!
けど、やったはいいが、流石のオレもこんな自分には絶えられない。口元が不自然に歪むのは、僅かな理性によるものだ。更に、笑いが込み上げてくるのは、第三者の視点からこの現状を見た場合を考えちゃった為だ。
凄く笑える。
笑えるが、しかし。ごっ君が、ちょっと、なんか、マジで固まったみたいだったので、あ痛。そこまで引かれちゃ元も子もねー上に、オレの立場がかなり酷い事になったりするので、弁解させて頂きたかったりっ。
「……ちょ、待っ! そ、そこまで引くなよ! 冗談だよ! いいから食べなさいよ! お礼なんだからね! 落ちちゃうでしょうが!」
あれ、後半某実家神社のツンデレ双子姉が出て来た。
頭の中が、駄目な方にこんがらがって来たオレ。
そんなオレを他所に、やっとごっ君が覚醒。
顔真っ赤にして、見ろ以下略。
「ぶあ!!!! ばばばばばば、馬鹿やってんじゃねぇ! ききききききき、気色悪ぃだろうが! 死ねっ! くたばれっ! 消え果てろっ!!」
三段階の滅亡要請。
そこまで言わなくたっていいじゃないか!
「と、とりあえず食えや……」
玉子焼き。
「………………わ、分ぁったよっ、じゅ十代目のお母様が作ったモンだ。む、むむ無駄にしたら、それこそばちが当たるっつうかな……っ!!」
……この人十代目信仰とか始めないだろうか。
「まあいいや。とりあえず、その忠犬根性には感服ものだぜ右腕。と言う訳で、ほら、口開けて……そのままな…………はい! 投下っ!!」
「――――っご!!」
こちら蛇さん、任務完了(きらり)。
口開けた獄寺氏の口に、箸で挟んだ玉子焼きを大きく振りかぶって、一直線に投下。良い子は真似をしちゃいけないんだぜ。強靭な喉を持ったマフィアにしか受けられない魔球だから、下手すると喉に詰まらせちゃうんだぜ。
とかいった事をやっていたら、咳払いをしているごっ君の肩越しに、こちらを向いて、何やら変に固まっておられる山本さんを発見。左手に牛乳持って、右手のパンは口の直前で止まってる。山さんの奇怪な状況を疑問に思い、右のツナに救援願い。しかし、ツナもオレの気色の悪い所業に固まっていたのか、少し驚かれた。
知ってるか一般人。オタクだって傷つくんだぞ。
「そんなにオレは気持ち悪かったか」
オタク嫌いか。
そう聞けば、首を思いっきり振って否定してくれた。良かった。
次いで、免疫が無いだけだよ、っと汗垂らしながら回答。
なるほど、確かに君達純情少年はギャルゲー、エロゲーなんてやった事無さ気だな。っていうか買えないしな。その手の大人がいないと買えないしな。ううむ、少年達の心を汚さない様に気を付けないと。けど、何時かこっそり、目の前で誘導起動させてやるふふふふ。
ああ、いや、とにかく今は謝罪しよう。
山さんは純情少年な気がするから余計に心が重いし。
獄寺さんはイタ公だから場数踏んでそうだけ……あ、いや、ヘタリア。
もういいや。みんなに謝ろう。
「本当に申しわけ――――」
謝罪だ。この世で最大級の謝罪である土下座だ。
でも、勢い良く開かれた鉄扉の音。
どでかい男の声。
その二つが遮りやがったよ。
空気読めー。
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