◆ Ⅰ - ⅴ ◆ Ⅹ ◆
「極限な旅人は何処だぁぁぁぁーーーーっ!!!!」
お兄さんんんんんんんんんん!?
ああ、お兄さんだ。
疑う余地もないくらいのお兄さんだ。
そこにツンデレの妹がいたら完璧だ。何の話だ。
ところで、何処の家のお兄さんだ?
って、おいおいセニョール、兄と認識しといてそれは、な事を思って、遅ればせながら鉄扉から飛び出してきた人物に目を向ける。向ければ、ああこのお兄さんか、とすぐに理解。
左眉に傷一文字を負った、鼻頭に絆創膏。
そして、極限に熱い魂を持つ、漢と書いて男と読む、熱血漢。
「ああああぁぁぁぁっ!! 了平兄さん!!」
立ち上がって叫ぶ(嬉声)オレに、固まっていた山さんも、やっと正気を取り戻したようで、声上げて吃驚してなさった。でもそんな事より、オレ的には今、オレの目の前で立つ兄さん――笹川了平兄者がの大事であってたりして、またメインキャラに会えた……って言うか、て言うか、何故目の前に立つし。何故オレの眼前で仁王立ちするし。
ボクサーの卵とエンカウントとか、はは、オタクは滅びろと。
「初めましてだが、オレの事は既に京子から聞いているようだな白井時! ならば話が早い! 我がボクシング部に是非入部してくれ白井っ!」
「…………え゛?」
力強くオレの肩を掴みながら(逃げられない)、きらきらと目を輝かせて(眩しすぎる)そう言い募る兄さんに、オレたじたじ。天然兄さんは、まさかオレが人類際弱に分類されるかもしれないオタクで、格闘ゲームでしか闘いらしい闘いを知らないだなんて、思いもしないだろう。
だからこその勧誘な訳だけど。
こんな軟弱なオレに誘いが来るとは、残念ながら予期してなかった。
おうまいが!
「………………んん?」
兄さんの発言に混乱して脳内格ゲーしてたら、オレの肩を掴んでる兄さんが首を傾げだした。次いでオレの肩を、もとい、筋肉を、まるで検分するように触り出す。
知っているだろうか。
貧弱な筋肉って押されると超痛いんだ。
「…………んんん?」
(い、痛いっ、これ絶対後遺症になる!)
「……んんんんん?」
(て言うかオレ的には、兄さんにふつくしい筋肉を見せて頂きた)
「ん?」
「軟弱っすよね!?」
「ん?」
使い物にならないよね!?
て言うかそうであって欲しいんだけどさ!
ボクシングとか無理! オレは戦士にはなれないタイプ!
でも、心してかかれ! 兄さんは兄さんだ! 極限KY人間だ!
「いやっ! 問題は無いぞ! 確かに少し細い気がするが、沢田も対して変わらんからな! 安心しろ! 鍛え抜けばどうとでもなるっ!!」
あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!
……はぁ。
兄さんの発言に真っ白になって打ちひしがれるのは何もオレだけではない。ヘタレ同士の綱吉君も一緒だ。道連れ、共倒れ、負の連鎖、なんでもいいけど、独りじゃなくて良かったと思う。でも、痛いの嫌だ。
ヘタレ。
……と、屋上に盛大な笑い声と、乾いた笑い声が響き渡る中、人の声ではない音が微かに響いてきた。始めは小さかったので皆も気にしていない様だったが、それが段々と近づいて意識をそちらに奪われる。
音の正体はサイレン。
パトカーが鳴らすタイプの方だ。
この世界でもちゃんと警察って機能していたらしい。
けど、パトカーのサイレン如きに、そんな興味を持つ年頃でもない。意識を奪われた理由は、その音の大きさにあった。異常に大きい、つまりはもの凄く近くから聞こえている音だ、と言う事で、そんな間近から事件の匂いである、パトカーのサイレンが聞こえてくれば、野次馬根性でついつい聞こえてくる音を追いかけてしまうのが人間と言う奴だ。
勿論、そんな野次馬根性持っているのはオレだけではなく、ツナに加え他三人も、みんな一様にフェンスの向こうに目を向けていた。ツナなんかは『またリボーンじゃないだろうな!?(ものまね)』とか、思ってんだろう。その……お顔が、可愛そうな状態になっている。
「お、来た!」
山さんがそう言った時には、並中のすぐ前を、馴染みの白黒車が横切った後だった。そして並中から少々離れた所で音は停止。どうやら結構な近くで何かあったらしい。
「なんだろうね〜」なんて、何気なく皆に対して呟いてみたらば、帰って来た声は屋上に居た誰の物でもなく、聞き馴染んでいる子供声の、あの黒尽くめな方の声だった。
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