◇ Ⅵ - ⅴ ◇ Ⅹ ◇
「何草壁から先に渡してるの。この場合僕の方が先でしょ」
「……近かったからですが何か?」
「僕がルールだけど文句ある?」
「ありませんよ畜生! もう遅いじゃん! 草壁さんに渡す時に言えよ! て言うか作る前に言えよ! なんだそれ! 順番ってなんだそれ!」
「次は会計。詳しくは草壁に聞いて」
「はいはいはい……」
「YESは?」
「………………一回……イエスサー」
「何か良からぬ事を考えてるね。咬み殺そうか」
「うわあああん! ごめんなさい! ごめんなさい! もうしません!」
「無駄な抵抗をするのは止めとけ白井」
「……魂が、逆らおうとするんだ。オレの魂が、縛られる事を嫌うんだ」
「……そうか……まあ、なんだ、計算でもして気を紛らわせ」
「………………あ」
「ん? どうした?」
「あ、いや、六時のアニメが、と思ったのですが、こっちのはまだ把握してませんでした。気にせんで下さい。帰ったら新聞チェックしますし」
「は……あ……所で、白井はアニメが好きなのか?」
「勿論だとも! アニメと言わず、漫画にラノベにゲームにエロゲに」
「……え、えろ……げ?」
「うん、正しくは、エロゲーなんだけどさ。青少年は気にしちゃいけないかな。深く聞くと帰ってこられなくなるかな。うん、聞いちゃいけない。聞いたら穢れる。それにオレ、別にそれで、うはうは、してる訳じゃないんだよ。そりゃ友達にはそういう奴もいるけど、オレは違うよ。断じて違うよ。お話がね。ストーリーがね。それにオレ」
「言い訳がましいね」
「うっさいな! ほっといてくれ!!」
「で? えろげ? 何?」
知らないんだ。
「……十八禁」
「………………AV?」
「違うよ、それアダルトビデオの略じゃん、オレが言ってんのはエロゲームでして、だから……アダルトゲームと、あいなりまして……ええっと」
「……つまりR十八の卑猥なゲーム……」
「うんまあ、そうなんだけど、いい話もあるからさ、泣けるんだよ? だからオレはそれ目当てでやってる訳で……それにね、にゃんにゃんしてるシーンでも愛はあるんだよ? ……そりゃあ、ジャンルも色々だけど」
「………………」
「………………いいよもう、どうせヲタクですよ、気持ち悪いんだろうがよ。エロゲーの話したら皆それだけで引くんだもんな、気持ちは分かるけどさ……本当いい話だってあるのにさ」
「別に君が、AV見ようが、えろげ? しようがどうでもいいよ、学校の風紀さえ乱さないんであれば…………ああ、もう乱してるか」
強姦。「ああ、ああ、そうですね! オレはもうそうでしたね! ごめんなさいね! エロゲとか、凄くしょうもない事でいじけてごめんなさいね!」
強姦未遂事件の容疑者にされている時点で、もうなんでもござれである自分の状況を、とんと忘れていた。かつ、思い出した。嫌な事思い出してしまったので、気を紛らわすように、電卓に黙々と数字を打ち込む。しかし、あの閣下がオレのそんな考えを察してくれる筈もなく、会話は延長戦に突入しやがった。
「で、君“十八禁”って、言っていたけど、未成年なのに買っているのかい? 闇ルートか何か? 場合によっては、強姦未遂に上乗せだけど」
「中学生なのにバイク乗っていいんですかーーーー!?」
「僕を誰だと思ってるの」
「やーーーーーーーー! もうや! 草壁さんオレこの人嫌いだ!」
「ま、まあ、落ち着けっ」
「で? どうなの、変態」
「だーーーー! 変態言うな! オレ買える歳だもの! オレもう二十歳だし、普通に買えるもの! 買っていいんだもの! 怒られないもの!」
「……何処が二十歳(はたち)」
「それは!!」
「心が!!」
「上乗せ」
「もう嫌……」