◆ Ⅸ - ⅲ ◆
閣下の突然のご登場に、オレの傍にいた三人だけでなく、周りで昼食をとっていた生徒達も声をあげる。阿鼻叫喚、と言って差し支えはない。「もういっそ殺してください。一思いに殺して下さい。ああ最後にミクちゃんの歌聞きたかった! せめて聞きながら没りたかった……!」
一番お気に入りのヤツ。「僕が誰かの頼みなんて聞くと思うかい?」
ですよねっ。聞いたオレが馬鹿でしたっ。「……君って本当に珍妙だね……まあいい、草壁」
珍妙って……なんだその尋常じゃない表現。「……なんですかコレ」
ファイルを受け取らずに(疑心暗鬼と言う事なかれ)草壁さんの手に持たれている状態のまま見て問うと、ボス(雲雀さん)とは違い至極丁寧に答えてくれる見た目不良の草壁さん。同じ委員とは思えない。「とにかく見てからだ。話はその後に」
うん。「……入……学……手続………………………………………………き??」
何で閣下がこんなモノ……?
「……君の情報。この国、この世界の何処を探しても、一欠けらも見つからなかったよ。それはもう、見事なまでに何も……ね」
「………………っ」
「……だっ、だから……なんでしょうか……っ?」
「頭が弱いの? 理解しなよ」
「すみませんねっ、どうせ閣下みたいに万能人間じゃありませんよっ」
「落ち着け。国の援助を受けられないお前を、委員長が自分の力を行使して、並盛中学に通わせる、と言う事なんだ……あまり気を立てるな」
閣下と同じように、屈んでから耳元で話す、草壁さん。「そんな事出来る訳――――」
とりあえずの逃避。「僕を誰だと思ってるの?」
………………。「一応言っておくけど、これは“君”の為にした訳ではないよ。あくまでも“僕”の暇つぶしの為だから。そこの所無い頭に叩き込んでおいてね」
……放心くらい静かにさせてくれ。そう半眼で睨むが、ガン無視して、それから――と、少し怖い……もとい少し楽しそうな顔をして、更に言葉を続ける、自由すぎる風紀委員長。
「それから、君をこの学校に通わせるに当たって、色々と労力を使ったんだ。タダで通わせるのはつまらないよね?」
「……………………んなこたぁないですよ」
「だから……」
「……だから、君には“風紀の狗”として、働いて貰う」
“犬”と、そう高圧的に言う姿はまさに、暴君。