ⅩⅤ - 人皆旅人

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◆ Ⅴ - ⅳ ◆ Ⅹ ◆

「こ! 殺される!! バラされて東京湾っ!!」
「……何したんだよお前は」
「何もしてないよ! 強いて言うならランボと競争……」
「な、何してたんだよ時……で、ディーノさん? 時が一体何を?」

 んな!
 何もしてないってば!
 酷い、酷いよツナ!!

「あー……いや多分、こっちが一方的に勘違いしたんじゃねぇかな」
「そう……みたいですねボス……いや悪かったな坊主」

 ………………。

「……べっつに……気にしてないけどさ……べっつに怖くなんかなかったけどさ……べっつに死ぬかと思ってなかったけどさ……べっつに」
(いじけたっ)
「くっだらねぇ…………あん? んなっ!! お、おい白井!!」
「なんだよ」
「おまっ! その足なんだ! 半端ねぇ量の血が出てるじゃねぇか!」
「おや?」

 そう言われて思い出した左足の惨劇。
 自分の足元を見たら、左足から流れ出たであろう血の海。
 そしてその上に立っているオレ。

「……クール」
「そうじゃねぇだろ!!」
「はっ、早く手当てしないと!!」
「悪い! オレ達がゴタゴタした所為だ! ロマーリオ!」
「分かってますよボス!」

 みんながオレの足を見て騒ぎ出したにもかかわらず、当のオレは意外と冷静。足の痛みもなんか麻痺して、よく分からなくなっているし、何より血には免疫がある。アニメとか、漫画とか、ゲームとか……よく怪我してたし……決して危ない人ではないと断言しよう。

「ほら坊主、負ぶされ、早くしないと出血多量で死ぬぞ」
「や、それは頂けない。失礼します」

 ぼさっと、自分の足から垂れ流されている血を眺めていたら、隣からロマーリオさんが声を掛けてくれたので、そのお言葉に甘えてロマーリオさんの背中に体重をかけさせて頂いた。

『負ぶされ(きらん)』とか、あまりにも格好良いイタ公の背中を、もう少しだけ眺めていたかったけど、死にたくはないので、ここは素直に従うのが吉である。この程度で死んでたまるかって、感じだけれど、はは。

「いやいや申し訳ありませんなディーノさん、貴方の部下にこんな事させてしまって。オレがもう少し価値のある人間だったら良かったんですけどね。ああ、そうさ……所詮オタクさ」
「自分で言って落ち込むなよ……それからこの事は、正直気にしないで貰えると、ありがたいな。非はこっちにあるんだからよ。な、ロマーリオ」
「はは、まあ大方は俺の所為、で……………………ん?」
「ん? どうした?」

 オレを背に立ち上がったかと思ったら、首を傾げて疑問符を浮かべるロマーリオ氏。そんなロマーリオ氏を見て、オレとディーノさんも共に首を傾げ疑問符。更に、そんな三人を見て首を傾げていく周りの皆さん。

 疑問符連鎖。

「おい、どうしたんだロマーリオ。いきなり固まって……」

 …………あ。

「もしかしてオレ重いっすか? あー、最近ご飯食いすぎたからなー」

 だって奈々ママのご飯が余りにも美味しいから……居候の癖に図々しいな自分。遠慮しろよ。いやしているんだけど、げふんげふん。ああ、くそうっ。意気消沈この上ない。

「い、いやっ! 重くはないぞ! 重くはないんだが…………坊主?」

 人様の背中で悶々としていたら、ロマーリオさん覚醒。
 少しばかり焦って、オレの、重いかな? 発言へと否定を投げ掛ける。

 何故焦るし。

「平気ですよロマーリオさん。オレ体重とか気にしてませんし」
「い、いやっ、だがなっ…………あの……坊主?」
「はいはい」
「………………」
「ディーノさん、ロマーリオさんにメンテナンスが必要です」
「いや人間だからな。でも、どうしたんだ本当に。大丈夫か?」
「………………は、あ」
「ごっ君一発かましてやれ! 人間も衝撃を与えるとたまに直るよ!!」
「そりゃ、てめぇだけだ」
「……い、いや……何でもないんだ…………行くか……坊主」
「頼みます」

 やっと正常起動したロマーリオさんに返答を返して、いざ救急箱。正直覚醒してくれて、かなり、ほっとしていたりする。何せオレの足からは絶えず貴重な血液が、ダラダラ、ダラダラ、ダラダラ。

 ……動脈でもやられたかな、はは――――

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