◇ Ⅷ - ⅷ ◇ Ⅹ ◇
なんだこれは。
秋葉原で『ヒャッハー!(顔文字)』という状況より恥ずかしいぞ。
むしろ、秋葉原で『ヒャッハー!(顔文字)』の方が恥ずかしくない。
廊下で擦れ違う生徒達から好奇の目を向けられながらに、中傷に混じって『何あれ?』状態のパンダ状態。中傷が何時もより酷くなっている気がしたけど、今のオレにそんな中傷を気にしている暇はない。今オレが回避すべきなのは『何あれ?』の、疑問の方なのだ。
いやしかし、本当、何これ。
……オレが言った事なんだけどさ、負ぶってくれ、って言ったのはオレなんだけどさ、まさか本当にするとは思わなくってさ、予想外というか、なんというか……もういっそ、ガンダムだとでも思ってしまえば、オレの勝ちなのか。
よし、それで行こう。
とりあえず、ガンダムを愛してやまないフラッグ・ファイターにでもなろうか。彼を降臨させれば色々吹っ切れそうな気がする。でも、もれなく中傷が強化されそうな気もする。それは嫌だな。なら、ここはいっそ、ガンダムの背面装備と言う予想外な方向で行ってみようか。
「はは、またやってんな。それって癖だよな?」
「ん? ……え? なんかやってた?」
なんぞ、癖を指摘されてしまった。
顔が見えないので、横から覗く様に前方へと疑問を投げ掛ける。
癖、と言われても思い当たる節が無いので聞くしかない。
「ほら、時ってこう、うんうん、って頷いて一人納得してたり。う〜んう〜んって唸ってなんか考えてたりさ。もしかして気付いてなかったか?」
なかった!
言われてみれば、と言う感じだ。
そもそも癖と言うのは気付かずにやっている物なので、他人様から言われないと分からない。つまりはそれを『癖』と呼ぶんだろうが。
「嫌だな。そんなに唸ってたかな……そんなにやってた?」
「はは! やってたやってた! 初めて会った時もやってたし、ツナを迎えに行った時もやってたし、黙り込んでなんか考えてる時は大体だな」
「良く見てるなあ」
「はは! だろ? 結構観察眼には自信があるんだぜオレ!」
「なるほろ。だから時さんの事も害が無いって信じてくれたのかしら?」
そのご自慢の観察眼で観察して。
「お、そうかもな。はは! そうかもしんね!」
はにかみながらオレの言葉に肯定してくれる山さん。
それが嬉しくて、オレも一緒になってはにかんでみた。
周りからは絶えず、オレ達に対する疑問と、オレに対する中傷が投げ掛けられているが、山さんの笑顔一つで、そんな物は掻き消えてしまうから不思議だ。朝から沈んでた気持ちも、不安だった気持ちも、気付けば無くなっている。
これが、山本武なる人間の力に違いない。
暖かいな、と思う。
ツナ達もまたこんな風に一緒になって笑ってくれるだろうか?
さっきの山さんのような、泣きそうな顔はしないでくれるだろうか?
オレは、みんなの笑顔が好きだ。
笑って欲しいと願う。その為なら何でも出来ると思うようになった。紙の上に目を走らせていたあの頃とはまた違う感情。自分と同じ人間に想う感情だ。この世界に来なかったら、思いもしなかったろう想い。気にもしなかっただろう、ヒーローへの想い。
別に拒絶されてもいい。
疑われてもかまわない。
そんな事を思えるほどに、オレの知る彼らは信頼できる。
だからオレは、怖くない、寂しくない、痛くない、大丈夫。
大丈夫だから、どうか、せめて。
彼らが、気負いなく笑ってくれますようにと、オレは願うよ。
――――ツナ達の居る教室はすぐ目の前。
――――君の孤独はすぐ後ろ。
* 08/??/?? * Re:10/10/05 ************** Next Story.
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