◆ Ⅸ - ⅱ ◆ ⅩⅩ ◆
――――眼が、覚めたら……。
体が縮んでしまっていた。
……なんて奇怪な事はなく。眼が覚めたら、やたらと重い感覚が体全体をを支配していた。
「だる……超、だるびっしゅ」
ダルビッシュさんに失礼だ、と思いながらも言ってしまう言葉を発しての、意思表現。だが、この意思が誰かに届いたのかどうかは分からない。
そもそも、ココは何処だ?
横たわっている体の中で今現在、一番意思の通じる目で辺りを見回す。
天井は幾つもの正方形が敷き詰められており、中央にはそれ程大きくない裸電球が一つ見て取れる。右目の端で捕らえられるカーテンに遮られている物は恐らく窓だろう。漏れ出る光の赤みから、夕暮れ時である事が予測される。その反対側に目を向ければ、部屋の半分ほどを占めるスペースと、少しだけ開かれている扉。
数秒――いや数分かもしれない――の時間を要して見回したその景色、その場所は、何日か振りに見る、オレがこの世界へと来て、初めて、夜を明かした。そして、暮らす様になった場所。
「…………あ」
ツナの家だ。
ツナの家の、今の所、オレの部屋だ、と言える、オレの居場所。
しかし、自分の居る場所が分かったからと言って、現状までをも理解出来るほど人間は万能ではない。だから、と言うか、自分の居る場所の確認を終えたオレは、ひとまず次の行動を起こす事にした。
何故オレはこんな所にいるのか。
何時の間に、この部屋に戻って寝ていたのか。
気だるい体の中で、唯一動く頭を使っての、考える、と言う行動。
色々な疑問が思い浮かんで、そして掻き消された。
その理由は自分が置かれている状況の経緯を推測した為。
そして、オレの頭が一番最後に覚えている事柄を思い出した為だ。
川での探し物。
何故探していたのか。
大切なモノだから。
何が大切なのか。
それは、そう。
――――時計だ。
意識がはっきりしない頭で思考を巡らせた結果、導き出されたのはとても重要な事。
クラスメイトに奪われ、川へと投げ捨てられた腕時計。
ソレを探す為に川に入って、でも、見つからなくて。
そう、そうだ。
まだ、時計は見つかっていない。
「時計……」
重い体をゆっくりと起こす。腰だけじゃ支えきれない上半身を右手で支えて、なんとかベッドから降り立った。
少しでも早く、川へと時計を探しに行かなくちゃいけない。
父さんと母さんが残してくれた腕時計を。
早く――――
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