ⅩⅩⅩⅣ - 人皆旅人

◇ Ⅳ - ⅰ ◇ ⅩⅩⅩ ◇

 願い……だろうか。
 言葉にするなら、そう『願い』だ。

 違う世界を覗き見た後に、この世界を見ると、酷く色褪せて見える時がある。確かに、全ては生きていた。笑って、泣いて、生きて、死んで。それが人間の常だ。生きている、と言う事だ。

 だが、この世界の“それ”は、虚像だ。

 誰が知っているだろうか、決められた選択をしていると。
 思いもしないだろう、箱庭の中で生きている事など。
 信じているに違いない、己で選ぶ、己の道を。


“虚像”だなどと、誰が疑うだろうか。


 滑稽だ。
 なんて、哀れな世界。
 ワタシに与えられた世界。
 観測するだけの、ただの世界。


 ああ……なんて。


 なんて、悲しい世界だろうか――――

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