◆ Ⅲ - ⅰ ◆ ⅩⅩⅩ ◆
あの子は“箍(たが)”が外れた人間だ。
ワタシの権限を無視する事などは、容易に想定できた。
だからこそ、希望せずにはいられない。
希望なんてものをワタシが抱くのも、おかしな話だが。ただ、この胸にあるわだかまり……私が求めるものに名前を付けるとしたら『希望』……そう名づけるのが最良なのだ、という考えに及んだ。
そして、あの子は『希望』であると、理解し始めた。
あの子がこの世界に干渉した事で、僅かではあるが確実に、彼らへと歪みが生じている。ワタシの望んだ歪み。悪い意味ではない、いい意味での歪みだ。変化と言っても差し支えはない。今はまだ、小さなものでしかない。だが今後、大きなものが生じない、だなんて否定は出来ない。
可能性はある。
何故だろう。心が躍る。心なんてモノは組み込まれていない筈なのに。
何故だろう。あの子がこの世界を選ばなかったら……と、心痛むのは。
ああ、もしかしたら、ワタシにも歪みが生じているのかもしれない。
だが、それは変革だ。革命だ。
この世界にはありえないはずの、自由だ――――
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