Ⅵ - 人皆旅人

◇ Ⅵ - ⅳ ◇

 そして――の一時を置いて、ランボ達と遊んでいたら、もうすぐお昼。


 正直、疲れた。


 考えてもみてくれ。相手は、五歳とか、五歳とか、七歳とかの、スタミナが尽きる事を知らない子供だ。曲がりなりにも二十歳の時さんが、そんな子供と遊んで、元気でいられると思うてか? 同じ境遇に陥った事がある人ならば、分かってくれるだろうが……まあ、安心するといい、まだ、よう分からん人も、その内分かるようになる。人間はどうあがこうが年を取る。ざまーみさらせ!

 ……ん、あれ? オレ今、身体的には十と四、五歳……あれ?
 ああ、そうか……このくらいから既に人は年老いているのか。
 ……もう、疲れたよ、ヨーゼフ。


 でも、容赦ないランボは縁側でくたばってるオレの上で、はしゃぐ。


 イーピンがランボ止めてくれる。でも意味無い。
 ……痛い。ランボこの野郎、跳ねないで。
 ……畜生コレが最後だからなっ。

「くあぁぁぁぁっ! 悪い子はいねぇかぁーーーーーーーーっ! 取って食うに飽き足らず、果てはでっかいランボさん出現させてオタクの大きいお姉さん達の前に放り投げんぞ、コラァ!!」

 地獄になるぞ! と起きれば、ランボは笑い声を上げながら、イーピンはオレに驚いて、双方共に逃げてしまった。軽くショック! でも、もういい、追いかけるものかっ。オレのスタミナは今ので底をついたよっ。

 跳ね上げた体を後ろへと倒して、ゴチン、ちょっと痛いけど、そんな痛覚もうどうでもいい程にくたびれた。精神年齢二十歳、身体年齢、大よそ十四歳の白井時、無職。泣ける。

 ……ふふ、もう嫌だ、風が涼しいな、ふふん。

 大口開けて、天井を仰ぎながらに、あ、に濁点付けて声を出す、だらしないオレ。そんなオレの傍に、誰かが近寄ってくる気配を感じた。またチビちゃん達かな、なんて、無邪気な邪気の塊に思いを巡らせて視線を向ければ、台所から出てくるフゥ太。

「疲れたでしょ時兄ぃ。はい、ウーロン茶。いっぱい遊んでくれてありがとう! 久しぶりにたくさん遊べたから楽しかったよ!」

 潤い成分を持った救世主現る。

「ありがとおっ! フゥ太っ!!」

 フゥ太様――いやもう救世主(メシア)様――からコップを受け取り、そのままぐびぐびと喉に流し込む。飲み干した直後に、日本国民なら若者だってやるであろう『ぷはぁ!』を、やれば『おじさんみたいだよ』って言われてしまったっ。いや、でも、仕方がないのです。疲れたら人類皆おじさんだよ。……ああ、うん、それは嫌かもしれない。萌え成分(可愛らしい女の子等)が、おじさん化とか、死ねる。

「いや〜しかし、ありがとう。フゥ太は良い子だね〜」

 どっかのホルスタインとは、えらい違いだね〜。

 そう言いながら頭を撫でてやると『えへへ』だなんて笑い声が聞こえやがった訳ですが。『えへへ』って笑うと、大体の人間が、なんか変てこな人間に進化しちゃうんだけれども、そうか、そうだった。子供って奴は変なコスプレしても『可愛い』で済まされちゃうんだよね。いいな子供。ギャルゲーやっても許されそうな勢い。

 ね! 奈々ママ!

 勝手に同意を求めるなと、己に突っ込んだのは言うまでもないが、生きて行く上でノリとは大事なのである。ノリがなくなると、人生つまんなくなるのである。なのでオレは、視界に入った、洗濯物の入った籠を抱えた――洗濯物干しに来たのだね――奈々ママに、ノリのままに視線だけで同意を求めたのである。

 以心伝心は、言わずもがな無理だった。

 けれど、オレのセンサーが何やら奈々ママの心を受信。洗濯籠を抱えた状態の奈々ママが、何かを探す仕草で『あら?』

 あら?

「つっ君ったらも〜、ご飯食べれないじゃないの〜」

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