◆ Ⅲ - ⅳ ◆ Ⅹ ◆
ツナの声じゃない声が聞こえて、教室の入り口に目を向ける。
「何してるの早くしなよ」
「よ、よし。やれ、蹴散らせ。自慢のダイナマイトで吹っ飛ばしてやれ」
「……よっしゃあ!」
さっきの言い合いの手前、やらざる終えないごっ君は、タバコを加えて火を付けに掛かる。オレも何かすべきだよね。このままじゃチキンだもんね。いやチキンなのだがね。それでも、やらねばならぬ時があるのだよ!「……なんて、ね。今は遊んでいる暇は無いんだ。わざわざこっちから出向いてあげたんだから余計な手間取らせないでくれるかい」
そう言ったかと思ったら仕込みトンファーを流れる動作で仕舞う閣下。目の前の人物の思いがけない行動に、ダイナマイト取り出したごっ君も、それを盾にするオレも、その後ろで怯えてたツナも、皆一様に間の抜けた声をあげた。「草壁。部外者を連行して、抵抗する様なら締め上げてでも良いよ」
そう言われて出て来た草壁さんは、教室の中に居るオレの所までやって来て「一緒に来て貰えるか?」と、あくまで丁寧な対応をする。がしかし例え草壁さんが丁寧だろうと、オレは閣下の言葉を聞き捨てる訳にはいかない。「おいこらヒバリー! 君は一体何様だ! ……いや、みなまで言うな、分かってる、分かってはいる。けど、いきなり連行ってなんなんだよっ! そんなどこぞの犯罪者みたいな扱い、オタクで、チキンで、変質者で、特に生きている価値も無いけど生命力溢れる時さんだって、流石に黙っていないぞ!」
あまりにも横暴過ぎる彼の行動。「……この状況で、解らない、と言うのならば、君の愚鈍さには感服するよ。君は今、自分の置かれている状況理解しているのかい? 君は『容疑者』なんだ、しかも最有力の――――」
『強姦未遂事件における、最も有力な加害者』
突然すぎる彼の言葉に、言葉を失う。『オレが強姦魔の最有力候補』
今日一日で似たような事は散々言われて来た。でも全然と言って良いほど気にはならなかった。何せオレは、やっていない、と胸張って言いきれるから。自分のやった事くらいは自分が一番分かる。だから何を言われても気にならない。『オレがやったのか……?』
無意識的に。