◆ Ⅶ - ⅴ ◆ Ⅹ ◆
口角をゆっくりと持ち上げ、見上げていると言うのに、見下すように彼を見据えて言い放たれた言葉。一言一句、子供に言い聞かせるようにゆっくりと、けれど何処か挑戦的にソイツは喋り。
「ワオ、一欠けらも面白くない冗談だね。“お前”が“部外者”? 嘘を付くならもっと語学力を付けるべきだね。笑えもしない冗談だ」
「ほお、どうしてかな? “オレ”は其処に居る“ソイツ”と、全く同じだというのに……声も、顔も、見目も……姿形の全てが同じゃあないか」
「……同じ? ……“お前”が? ……“時”と?」
――――ゴッ……と。「つまらない……本当につまらない冗談だ。お前と時が一緒? いいや、違うね。勿論あれは、愚鈍で無能で駄目で役立たずで臆病者で、生きている価値があるのかどうかすらも疑わしい莫迦だ」
何やら、お怒りのところを更にお怒りになられている閣下が、更に声を低くして、唸るようにオレをけなし始めた。眼なんかも一層、鈍く鋭くおなりになられて……なんで、オレけなされているのか。
「か、閣下ぁ……! お、オレが一体何をし」
「――――でも」
(そ、そんな事になったら、オ、オレ、違う意味で泣いちゃう!)
気体に満ち満ちた涙目で閣下に視線を返す。「――――でも……君の愚(ば)かさ加減に比べれば、向こうの莫迦の方が、いっそ清々しくて莫迦莫迦しくて……ふふ、ずっと、小気味いい」
……ああ畜生。
「……くくっ! くくく、あっはっはっはっは! はは……面白い、面白い事になって来るものだな! ……やはり世界を動かすのは人なのか!」
「……っ訳の分からない事を」
「分からない? 分からないのか? “白井時”の干渉で“君”は確実に変わって来ていると言うのに、“白井時”がこの世界に存在してしまった事で確実に普遍が崩れ去っているというのに?」
「……気でも狂ったか」
「……狂う? オレが? 狂う…………くく、ああ……ああ、狂っているなあ、オレは、だからこそオレは――――」
「………………」
「“白井時”は、“あんな事”に手を染めた」