◆ Ⅶ - ⅲ ◆ ⅩⅩ ◆
「……何でトキはあんな事になってんだ、ツナ」
痛い。
声も言葉も、オレの心臓を直に突かれてるみたいに痛い。
聞かれて当然なのに、聞かれるのは分かってた筈なのに。
まだ逃げようとしてるオレが居る……。
「放って置いたらアイツあのまま死んでたぜ? なんだってあんな事を黙ってさせてたんだ?」
いつもより低く響く声に、自然と姿勢が正される。
でも、顔が見れない。
見たら、そのまま射殺されそうな気がして、視線が自然と自分の足元に向いてしまう。そしてそれは、オレの隣の二人も同じらしくって、視界の端に二人の俯く横顔が微かに掠める。
「……なんで答えない……」
何も言わないオレ達の頭上に、ディーノさんの怒気を含んだ声が降ってくる。
『何で答えない』
静かに言われる何気ない言葉なのに、今のディーノさんの口から言い放たれてるだけで、鋭い刃見たいになっている。
答えなきゃ、答えなきゃって思うのに、口が震えて、声が上手く言葉にならない。手の平に嫌な汗を蓄えながら、何とか自分の口に言う事を聞かせようと深呼吸をする。そして、喉の奥に詰まった言葉を押し出そうとした所で……。
オレの言葉は、獄寺君の言葉に遮られた。
「……アイツが何しようが、オレ達には関係ねぇだろうが……」
「……なんだと?」
「……アイツが勝手に、水浴びて、凍えて、それで……それで死のうが、何しようが、オレ達には関係ないっつってんだよっ!!」
「本気で言ってるのか……っ!?」
「…………っ! たり前だろうが! アイツは勝手に凍え死にそうになってんだよ! オレ達になんも言ってこねぇで! 自業自得以外のなんだってンだ!!」
「お前……っ!!」
獄寺君の声は怒鳴ってる筈なのに、何処か苦しそうだった。
オレの部屋で、獄寺君と話してた時の山本みたいに、何処か自嘲気味てて、何処か……泣いている様な……そんな声だった。
そしてもう一人、そんな声をした人間が声を上げた。
時を止めなかった理由じゃない。
時がどうして、あんな自殺まがいの事をしていたのか、その理由。
そんな事誰も知らないと思ってた。オレも、獄寺君も、そして山本も。知らないから何も出来ない、何もしない、何もしてやる事なんて出来ないと思ってた。
でも、それは違ったんだ、……と。
口を開いた山本の言葉で理解した。
****************************** Next Page.
◆
ⅰ
ⅱ
ⅲ
ⅳ
ⅴ
ⅵ
ⅶ
ⅷ
◇ BACK ◇ NEXT
◇ TOP ◇ SITE TOP