◇ Ⅱ - ⅳ ◇ ⅩⅩⅩ ◇
「――――っが!」
「――――っぐ!」
「――――っ!」
大きな音を立てて地面へとへたり込む三人。その内、二人の喉が酸素を求めて大きく上下するが、いきなり呼吸器官に大量の空気を流し込んだ為か、どちらともつかずに咳き込んでいた。
愚かこの上ない。
「よお。気分はどうだお前等? 酸素ってのはありがたいだろ。事がすんだら酸素を排出してくれている世界の植物達に畏敬の念をしかと送るんだな」
「ごほっ! ごっ……全く……リボーンさんの、言うとおり、ですっ」
ふざけ口調で言う彼に、少しかすれた声音で獄寺隼人が返事を返す。
山本武の方は喋る余裕がないのか、言葉は発していない。
が、顔には何時もの笑顔が張り付いているので問題はないのだろう。
「それじゃあ赤ん坊、僕は行くよ」
もう用はないので、挨拶を向けならが目的の場所へと踵を返す。早々にあの戦場へと足を踏み込んで、あの二人を止めようと踏んでの行動だったのだが、思ったよりも早く、戦火は僕の元まで広がった。
「――――ぐあっ!!」
「…………っ」
踵を返した瞬間に僕の視界へと飛び込んできたのは、何者かの人肌。
唐突に起きた目の前の出来事に驚いたものの、僕の体はその物体から避けるが為だけに、反射的に動いていて、当然、僕目掛けて飛んできたそれは、当たる筈であった僕がいなくなった事により地面へと落下。
酷い声が上がるのは必然だった。
「ぐえっ!!」
「気品も何もない声だなツナ」
「そ……っそう言われても、さっ。……ってあ! 死ぬ気切れたあ!」
仰向けで崩れた下着姿の男――沢田綱吉は、そう叫びながら上体を起こし、頭を抱えて絶望した様に喚きだした。
「どどどどど、どうしようっ! あんなのと生身で戦うとかオレ無理! 絶対無理! ……ああああ、でも早く倒さないと獄寺君達がっ! ああもうどうしよっ!? なあリボーンどうしようっ!? も、もう一回撃ったらヤバイかなっ!? 死ぬかな!? ああもう! なんでオレこんなに弱いかなあっ!!」
「強くあろうとしていないからじゃない?」
「……へ? って、ひひひひひひひヒバリさんっ!?」
「じゅ……十代目っ」
「ぎゃっ! ご、獄寺君っ!?」
僕の存在と、傍にいた人間の声に酷く驚いた草食動物は、絞め殺された様な悲鳴を上げて、僕と獄寺隼人の顔を、何故だか交互に見比べている。
事態が上手く飲み込めていないのだろうが、一時の間の後、驚愕の色を見せていた顔は、眉の釣り下がった酷く情けない顔に変わって、今度は気の抜けた声を、その口から漏らしていた。
「よ、良かったっ、もう息、出来るんだよねっ? ああ良かった! 本当に良かった! オレ三人が死んじゃったらどうしようかと思って……!」
……三人。
そこにふと引っかかる。
そういえば先ほど、赤ん坊からの頼まれ事を了承した時、確か僕は三つの人間を殴り捨てた筈だ。だが視界に入るのは、赤ん坊と草食動物、そして草食動物に媚びへつらっている獄寺隼人と、そんな二人を笑顔で眺めている山本武。
……もう一人は?
「笹川了平はキーパーソンでね。君が余計な事をしてくれた時に、少々意識を遮断させてもらったよ」
出た。
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