ⅩⅩⅩⅡ - 人皆旅人

◇ Ⅱ - ⅰ ◇ ⅩⅩⅩ ◇

 諦めてしまえばいいのに。
 それはとても簡単だろう。

 抗っても、たかが知れている。
 甘んじてしまえば、楽でいい。
 世界に逆らう事など、無謀だ。

 君達だって君達の“役割”から逃れる事など叶わない。


 なのに……何故?


 期待してしまう。柄にもなく望んでしまう。もしかしたら叶うのではないのかと……何せ、少しではあるが、君達は変わってきているから。あの子の存在で、少しながら変革を起こしているから。私の想いなど知らないのだろうが、私の願いなど分からないのだろうが……もしかしたら。


 もしかしたら、この世界にも厚みはあるのかもしれない。


 それはとても、無謀な願いだろうが――――

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