◆ Ⅰ - ⅰ ◆ ⅩⅩⅩ ◆
この手の世界は、薄っぺらいものだった。
裏切って、信じて。泣いて、笑って。
勝ちては、負けて。生きて、死んで。
決められた秩序の中での人間の営み。
薄っぺらい。
彼らもそうだ。
格好のいい事を言うヒーローであっても、所詮、そこらの人間と大差のない、少しだけ能力が秀でただけの存在。同じ人間。泣いて笑う、死んで生きる。決められた世界体系の中で、決められた役割をこなす、歯車。
だから、あの子をけしかけてみた。
最初は、あの人の遊びに付き合う程度だったけれど、世界から逸脱したあの存在になら、この世界を……彼らを、動かす事が出来るのではないのか。世界として確立している以上、動かす事は可能なのだから、もしかしたら彼らは英雄である事など放棄する事が出来るのではないのか。“普通の人間”である事が、叶うのではないのか……そう思った。
けれど……薄っぺらい。
結果は結局、そう、なっていた。
つまらない……とんだ虚像だ。
やはり君達は宿命から逃げる事なく、英雄であろうとするのか――――
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