◆ Ⅴ - ⅵ ◆
「ツナん家に住めばいいじゃねぇか」
ヘイ、ヒットマン、冗談は休み休み……ああ、くそぅ、消音機が付いていようといまいと銃の恐ろしさは変わらないと気付いてしまったっ! こんな飛び道具使ったヤツが憎い。そしてオレの肩に乗って平然と、とんでもない事言ってのけたリボーンがちょっとだけ憎い。
「文句あるかツナ?」
「オレが文句ありますよ旦那」
銃に怯えている訳には行かないので物申しますよ時さん。
日本人のすまない精神舐めんなよ。
「こんな得体の知れない奴を自分の家に、はいそうですか、って入れれる訳がないでしょうが。いや仮に入れてくれたとしよう、だがオレは認めないぞ。迷惑がかかるだけだ」
食費とか生活費とか僅かながら稼げるだろうから、百歩譲ってその辺はオレから渡せばいい。だが、あの家にはビアンキとかもいて、元々人が多い。そんな所に、また一人、なんて、奈々ママンに迷惑がかかる事この上ない。そもそも、今のこの物騒な世の中、身元も知れない不審人物を家に入れるなんて、なんとまあ無用心な、で云々かんぬん、ああ言やこう言って……。
「あ、あの、オレは構わないんだけど……その、オレの家人が多いから。それでもいいかな? ……と」
……なんか皆濃いし。
って、いらん事考えている間にツナが陰ってく!
けれども、たとえツナが陰ろうと中々折れないのが日本人のすまない精神。しかし、ツナの心遣いに言葉を詰まらせるオレへ対し、脅しと称する容赦無い優しさが降りかかるのに、さして時間は要さなかった。
「オレが住めって言ってんだ。従わねぇと、頭に風穴開けるぞ」
「ワーイ、アリガトウツナ、時サン凄ク嬉シイヨ」
オートマチック型の銃のハンマーを引く音が聞こえたので速攻で従うオレ。ツナが青い顔で見てます。ちなみにオレも血の気が引いてます。付け加えると残る二人は平然としています。おかしいな、片方一般人の筈なのにな。
「それでいい、オレには大人しく従っとけ。……で、お前名前はなんて言うんだ? トキサンか?」
そんな、カタカナ名前じゃありませんよ、オレ。
「……しろいとき。色の白に、井戸の井、時間の時で、白井時」
名前を言った瞬間は、みんな覚えようとしてくれているのか、じっとこちらに視線を注いでいた。『明日にでも京子ちゃん達にも教えなきゃな』と、ツナが一言軽く述べた後に、リボーンの口角が上がるのが横目に見えて。
「よろしくな、時」
ささやかな挨拶を、それぞれから貰った。
なんだかんだで、ややこしい状況下に置かれている訳なのだが、うん、なんと、まあ、ちょっと、嬉しいな、と思ったりしちゃたりで、のん気だな、などとも思っちゃったりしちゃったりで、でも大分心も楽になっていたりで、旅先で名前を呼ばれるなんて今まで一度もなかった事なのに、しかもここは、オレの知らない世界なのにで、少々不思議な感じ。
だけれど、今、自分が置かれている状況に違和感を感じつつも、何時の間にか、この不可思議な状況下にいる事をあまり悲観していない自分がいた。よくよく考えると“違う世界”だなんていう感覚は無い。目に映る物への目新しさも無い。息も出来る。音も聞こえる。目の前の皆も確かにいる。見渡せば目に馴染んだ、二次元ではない顔。そしてオレも“ここ”にいて、みんなからの返事に挨拶を返していて。
「よろしくお願いします!」
声は確かに音になって。
皆もそれに反応して。
オレも彼らも、確かに“ここ”にいる。
何時の間にか来てしまっていた“非日常”。最初の内は戸惑って、混乱して、怖くなったけど、一方的に知っている、とても優しい人達がオレの名前を呼んでくれた。ただそれだけの事で、オレはこの世界に存在しているのだと、と実感する事が出来た。
オレの居た世界じゃない世界。
歩いてみれば、結構居心地が良かった、そんな世界。
元の場所に帰れるかなんて分からないけど。
なるようになれ、と思えてしまうのは、きっと隣を歩く皆の所為。
こうしてオレ――白井時の“非日常”への旅は始まった――――
――――そしてどうやら、明日からは、なんちゃって沢田ファミリーなようだ。頑張れオレ!(主に拳銃に負けるな!)
* 08/??/?? * Re:10/04/02 ************** Next Story.
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